輪郭を彫り出す言葉に巡り合う。
※YondemyではMissionとして「日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届ける」を掲げている一方で、Visionはあえて一つに限定するのではなく、メンバーそれぞれが思い描くこととしています。
語彙は輪郭を浮き彫りにするものだと思います。
世界は言葉によって分節されていて、ものは切り離すことによって初めて見えるからです。
私にとって、世界を見るための言葉を与え続けてくれたのが本でした。
虹の色は国や地域によって違うんだそうです。日本と同じように7色の国もあれば、アメリカやイギリスは6色、他にも地域によって5色、4色、3色、2色……8色の地域もあるとか。こんなにも差があると驚きます。
では、私たちが見る虹と世界各地から見える虹とが別物なのかというと、そんなことはなく、きっと「何を見ようとするか」の問題なのです。
そのものを名付け、表現する言葉がないと、人間はそのものが見えなくなってしまう。
ある場所では存在しているものが、ある場所では無であることに私は少しゾッとします。
「人間も言葉による輪郭を失ってしまえば、誰からも見えなくなってしまうかもしれないな」と。
「可能ならば、彩り豊かな世界で、確固たる個性をもって生きていたい」
だから皆、自分をなんとか表現しようとし、その難しさに心を挫かれるのではないでしょうか。具体的な像を結ばない状態って歯がゆくて苦しい。
私は、本を通して言葉と出会い、視野を広げてもらいました。
それから、自分という存在が少しだけ現実味を帯びたような気がしていて。
だから、ひとの輪郭を彫り出す言葉に、みんなに巡り合っていてほしいと考えて、個人Visionを決めました。